「引っ越しました」の葉書が届いた。
とてもシンプルな葉書だったけど一文字一文字に
新しい生活の始まりの初々しい輝きが詰まっていて、いいなぁと思った。
彼は大学の時、一緒に焼き物を学んだ友人。美術科の隅っこに建っていた
寒風が吹き込むバラック小屋が陶芸の研究室だった。
今はもうなくなってしまったけど、そこで夜遅くまで制作したり、
1台のブルーヒーターを囲んでロクロで冷え切った手を温めながら
時にはマジメに語り合ったり笑い合ったり。掘っ立て小屋から巣立った仲間達は
割りにすごい確立で今でもやきものを続けている。彼も陶芸作家として独立し、
この頃は本屋さんでも彼の名前や作品を目にする活躍ぶり。
20代で互いに家族を持ち、子供が生まれ、その間もよき友人として
連絡を取り合い、クラフトフェアに参加したり、旅行に行ったりしてきた。
いつも「こちらも頑張ろう」と思う気持ちをもらう大切な友。
彼は主人の親友でもあり「どうしてるだろうねぇ」と彼の事を話していると
不思議と向こうから電話がかかってきたり、この間も電話をかけたら
「今どうしてるか話してたんだー」と笑っていた。
そして今年、彼は家族と共に実家のある九州へ戻った。
私達も冬には引越し。お互いに新しい一歩がまた偶然に重なって・・
葉書を手にしながら、彼らしい文字を見て「ガンバロウね」と思ったのでした。